第3回国連防災世界会議閉幕に際してのコメント

3回国連防災世界会議閉幕に際してのコメント

Comment and reflection for the closing of the 3rd UN WCDRR

 18th March 2015

2015防災世界会議日本CSOネットワーク (JCC2015)

Japan CSO Coalition for 2015 WCDRR (JCC2015)

 

第 3 回国連防災世界会議に向けて結成した日本の 104 の NGO/CSO(市民社会組織)ネットワークで ある「2015 防災世界会議日本 CSO ネットワーク」(略称:JCC2015) は、国連防災世界会議の成果を以 下のように評価します。私たちは、今日ここに同席している世界の NGO ネットワークが発表する声明 にも賛同し、「リアリティ・チェック:災害は政治の産物」というスローガンを共有するものです。

 

Japan CSO Coalition for 2015 WCDRR (JCC2015), a Japanese network with 104 members reflects the outcome of the 3rd UN World Conference on Disaster Risk Reduction (WCDRR) as follows. Furthermore, we express solidarity to key messages and statements by all networks present today, and share the slogan of “Reality Check: Disasters are not man-made, but political”.

 

1.    肯定的に評価すべき点

  1. Positives

 

このたび採択された新しい防災枠組に、「自然災害および人為災害」が含まれ、原発災害や産業災 害が対象となることは極めて重要な進歩です。特に、ワーキング・セッション「技術的災害:リスク軽 減から復旧へ」(3 月 14 日開催)において、事故が起きないという安全神話から決別して事故を想定し た対策を進めることが重要である、と内閣府の防災担当者が発言したことは大きな変化の兆しと捉えて います。また、閣僚級会合「災害からの復興:ビルド・バック・ベター」(3 月 15 日開催)において、 複数の国の大臣が原発災害や産業災害に言及したことは、人為災害に国際社会が積極的に対応する必要 性を示しています。

 

We observe great progress in inclusion of industrial disasters / nuclear disasters as part of the scope of post-2015 framework on DRR. Significant shift was observed when the representative of Cabinet Office of the Japanese Government has indicated “clear break-away” from nuclear safety myth during “Technological Hazards: From Risk Reduction to Recovery” (14th March). Several ministers of other countries have also commented on industrial and nuclear disasters during Ministerial Roundtable on “Reconstruction after Disasters: Build Back Better” (15th March), and it shows the need for international community to reaffirm its commitment and response against such man-made disasters.

 

2.             今後の注目点と期待

  1. Key points for the future and expectation

 

しかしながら、本会議における安倍晋三内閣総理大臣のスピーチが原発災害にほとんど触れなかっ た、と複数のマスメディアが批判している通り、私たちは、原発の「安全神話」から脱却するための政 治的意志が後退している、と捉えています。日本を含めた先進国は、自国内の原発建設が減速する一方 で、途上国への原発輸出を一層進めるために、輸出側・輸入側ともに再び「安全神話」を復活させる懸 念があります。途上国に住む最も脆弱な人々、特に、原発周辺に住む人々が福島やチェルノブイリでの 経験を十分に共有できるよう、また、UNISDR やその他の国連機関が速やかに取り組めるよう、各国政 府が積極的に協力しなければなりません。

 

Nevertheless, some media criticize Japanese government and Prime Minister Abe Shinzo’s speech that there was hardly any mentioning of the nuclear disaster, which we observe as a retreat of political wills. There is a concern that ‘safety myth’ will again be created in order to expedite the exporting and importing of nuclear power plants to developing nations, by developed countries where reduction of nuclear power plants is observed. It is critical that UNISDR or other relevant international organizations, with the support of concerned governments, to start the work to ensure sharing of lessons from Chernobyl and Fukushima to the vulnerable population in developing nations.

 

3.             強調したい点

  1. Our emphasis

 

「3.11 東日本大震災」の経験を通じて、UNISDR を始めとする国際社会に対して私たちが訴えたい ことは、住民や市民団体、消防団や公立学校、地方自治体などの防災に関する多数の関係者が普段から 連絡を密にして対応策を立て、災害に備えることです。そのための前提として、原発や工場などで生じ る災害のリスクに関する情報を、政府や関係組織が積極的に開示すること、そして、そうした情報や対 応策を関係者が適切に理解できるように災害教育や避難訓練を日常的に行うことです。第 3 回国連防災 世界会議と平行して行われた「市民防災世界会議」で採択された「市民防災世界宣言」においても、教 訓を風化させず、今後の備えにつなげる点が特に強調されました。

 

Major advocacy point to UNISDR and international community from us, who experienced the 3.11 disaster, is to enhance risk reduction by close collaboration between different stakeholders, including community groups, civil society organizations, voluntary fire-fighters, public schools, local governments, and many others. In doing so, risk assessment and disclosure of risk around nuclear power plants and factories should be done by the government and related organizations, and it is pre-requisite to enhancing risk reduction efforts. And, such information and response plans should be taught within DRR education and evacuation drills appropriately in a language that community members understand. The Global Conference on DRR for Civil Society, which ran in parallel to the 3rd UN WCDRR, adopted a statement that lessons should be remembered and communicated so that risk reduction and preparedness are enhanced in the future.

 

4.             国際協力に関する日本政府への要請

  1. Our request to Japanese government on international cooperation

 

このたびの新しい枠組策定に関する交渉が難航した理由の一つが「国際協力」です。災害大国とし てこれまで 3 回の国連防災世界会議を自国内で開催してきた日本政府は、こうした対立を人道主義の立 場から大胆に乗り越え、今後防災に関する取り組みをハードとソフトの両面で進め、草の根レベルに至 る国際協力を積極的に行うこと、あるいは支援することで、世界の議論をリードしていくことを、日本 に住む市民として心から期待します。

 

One of the negotiation points towards the post-2015 DRR framework was how international cooperation will actually be carried out in the future. We, as citizens of Japan, would like to call Japanese government to lead and facilitate overcoming of such difference from humanitarian perspective, and take proactive steps to promote and assist international cooperation in DRR field that impacts local grassroots level.

(以上)

End

6 Comments

  • 冨田修司 commented on 2015年3月20日

    原発災害に興味を持っている者です。1つ質問をさせてください。
    「1. 肯定的に評価すべき点
    このたび採択された新しい防災枠組に、「自然災害および人為災害」が含まれ、原発災害や産業災害が対象となることは極めて重要な進歩です」
    と評価されています。また、3/19付朝日新聞夕刊では、
    「枠組みには、対象の災害に「自然災害」とならんで「人が作り出す危険による災害」も新たに明記された。原発事故も含まれるといい、会議に参加したNGOネットワーク「JCC2015」の大橋正明共同代表は「大きな進歩。福島の経験を共有できるよう、各国政府は協力すべきだ」と指摘した」
    とありますが、当方の英語読解力のpoorさもあって、原文のどの部分についてなのかが解りませんでした。恐縮ですが、英文原文の何ページのどの文章なのかをお教えください。

    • JCC2015事務局 commented on 2015年3月24日

      冨田修司様

      お返事が遅くなり申し訳ございません。
      「自然災害および人為災害」の該当箇所は、原文6ページ、パラグラフ15の文がそれに当たります。
      “15. The present framework will apply to the risk of small-scale and large-scale,
      frequent and infrequent, sudden and slow-onset disasters, caused by natural or man-made
      hazards as well as related environmental, technological and biological hazards
      and risks. It aims to guide the multi-hazard management of disaster risk in
      development at all levels as well as within and across all sectors. ”

      原文へのリンクはこちらになります。
      http://www.wcdrr.org/uploads/Sendai_Framework_for_Disaster_Risk_Reduction_2015-2030.pdf

  • 冨田修司 commented on 2015年3月25日

    JCC2015事務局様
    ご回答ありがとうございます。

     当該の文章を読むと、確かに「caused by natural or man-made hazards」という文言が出てきますが、原文3ページの脚注には前回の兵庫会議(2005年)のframework of action における「hazard」の定義として、

    ●「natural (geological, hydrometeorological and biological) or induced by
    human processes (environmental degradation and technological hazards)」

    が書かれております(これは元々、2004年にジュネーブの「国連国際防災戦略事務局(UNISDR)」で定義されたものらしいのですが)。このように、2004年の段階で既に「人為的なもの」を含むと定義されていたものに基づき2005年の兵庫会議が行われ、更に10年後の今回の仙台会議の中での論議が行われたわけで、当該文章は、決して『原発災害』が新たに明記されたわけではなく、既存の災害定義を「引き続き適用」して行くと言っているに過ぎないように思われてなりません。
     誤解しないでいただきたいのは、今回の会議で会議の成功に向けてのNGOの方々の並々ならないご努力・ご尽力を否定するものでは決してありません。しかしながら、当該文章のこの部分を「(初めて原発災害が含まれることになり)極めて重要な進歩です」と評価するのはちょっと違うような気がしますが、如何でしょうか?
     福島原発事故が起こった東北地方での開催だったのに、何故『 原発災害 Nuclear Accident Disaster 』という一言がステートメント盛り込まれないかったのかという素朴な疑問を持つのは当然のことです。これについて、ワルストロム国連事務総長特別代表(防災担当)は「具体的な細かいことについては書かないことになっている」と発言したそうですが、前回の兵庫会議のステートメントには、『干ばつ』『洪水』『サイクロン』(下のリンク日本語訳版10ページ)『津波』(同15ページ)という具体的な文言が載っています(http://www.preventionweb.net/files/1037_wakugumi1.pdf)。
     このように、各論の項にでも良いので『原発災害』の文言を入れることは出来た筈です。開催地、東北の人たちにとっては、これがあるとないどでは天と地ほどの差があると思います。その点が残念でなりません。

  • 祝 英規 commented on 2015年3月28日

    昨3月28日、TV番組で女性の目線での避難所のあり方につき放映していました。
    現在、大震災時などにおける避難所のありかたにつき資料をまとめつつありますが、男性の仲間が多いため行き詰っているのが現状です。
    大会で検討された項目とその内容を知りたく、どうすれば資料を得ることが可能かお知らせください。お願いいたします。

  • JCC2015事務局 commented on 2015年3月31日

    冨田修司様

    ご質問ありがとうございます。お返事おそくなり申し訳ございません。
    頂きました内容について、文言と解釈に分けてお答えします。

    ・文言について

    ご指摘のとおり、仙台で策定された「人為災害」の定義は、兵庫のものと同じです。「原発災害」に関する提言はJCC2015だけでなく福島県も日本政府に対して行ってきたことであり、文言に含まれなかったことを残念に思っております。個別の災害について記載しなことにつきましては、むしろ防災が世界にとって重要な政治的イシューになってきていると、前向きに理解したいと考えています。

    ・解釈について

    JCC2015として強調したいのは、「人為災害」及び「Technological Hazard」という文言が、どのように仙台での会議で扱われていたか、ということです。

    まず、UNISDRが今回の会議の中で、「第3回国連防災世界会議では原発災害も対象になる」と言及しました(例:会議終了直後の記者会見でのマーガレッタ・ワルストロム氏の発言)。

    次に、国連防災世界会議というハイレベル会合において、初めて「Technological Hazard」に関する会議が持たれ、実際に原発災害が議論の対象になりました。例えば、ベラルーシ政府代表はチェルノブイリについて報告し、日本政府からは内閣府が福島の原発災害について報告しました。内閣府は報告の中で、福島での原発災害への反省を述べたあと、「安全神話からの明確な決別」を明言しました。兵庫行動枠組みでは話題にならなかった原発災害に関するこうした議論からは、「Technological Hazard」という文言の対象が原発災害であることがわかり、今後の仙台防災枠組みの実施と密接に関係しています。

    このことから、仙台防災枠組みで求められている「リスクの特定、開示、軽減のための積極的な投資」について、今後、防災に関する政策提言やプロジェクトを関係者が行っていく際に、「原発等の想定されうる産業災害」にも適用することが可能である、ということです。

    兵庫行動枠組みにおいては、(原発災害を含む/含まずとも)技術的災害への対応は、各国の政治的判断に委ねられていました。しかしながら、今回、会議場で「Technological Hazard」という文言の対象が原発災害であることが明示的に理解され、世界が取り組むべき共通の課題として議論されたことは、「極めて重要な進歩」だと考えます。もちろん、これは兵庫行動枠組みの反省の一つであり、仙台防災枠組みの課題は「どのように実行していくか」です。原発災害を見据えた災害リスク軽減を実施させていくような努力が、これからも引き続き必要になっていくと認識しています。

    ※担当者変更に伴い、大変恐縮ですが今後のご質問等につきましてはメールにて承ります。
    wcdrr3 [@] jcc2015.net
    何卒ご理解・ご協力の程よろしくお願い申し上げます。

  • JCC2015事務局 commented on 2015年3月31日

    祝 英規様

    コメントをお寄せくださり、ありがとうございます。
    第3回国連防災世界会議の「Mobilizing Women’s Leadership in Disaster Risk Reduction」がご質問の内容かと思います。
    JCC2015参加団体より本会合に参加していたのは以下の2つの団体です。
    詳細につきましては、それぞれの団体にお問い合わせいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

    ・男女共同参画と災害・復興ネットワーク
    http://jwndrr.org/

    ・みやぎジョネット
    http://miyagi-jonet.blogspot.jp/

    なお、避難所について、国連防災世界会議で採択された「仙台防災枠組み2015-2030」の18ページで言及されています。
    http://www.wcdrr.org/uploads/Sendai_Framework_for_Disaster_Risk_Reduction_2015-2030.pdf

    また、イグナイト・ステージにおいてPASSAという団体が「Participatory approach for safe shelter awareness」という発表を行っています。
    https://www.youtube.com/watch?v=WkFX-6WxEl8

    みやぎジョネットも、災害時の女性の役割について、東日本大震災の経験から発表を行っています。
    https://www.youtube.com/watch?v=HxQQtcu3ITk

    「shelter」「women」などのキーワードで検索すると、さらに情報が得られますので、どうぞご活用ください。
    http://www.wcdrr.org/

    JCC2015事務局

    ※担当者変更に伴い、大変恐縮ですが今後のご質問等につきましてはメールにて承ります。
    wcdrr3 [@] jcc2015.net
    何卒ご理解・ご協力の程よろしくお願い申し上げます。

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